外人

以前ですね。大道芸祭りみたいなのが地元でありまして。


小さな祭りです。


行く予定はなかったんですが、買い物がてらにその祭りの近くまで来たので寄っ
てみようかと。


到着すると小さなステージでピエロの格好した男性がバルーンアート披露してま
した。


男の子を横に立たせ一緒に作ってる。


プードルの形した風船を貰って男の子嬉しそう。


まぁ。規模的に小さいし、こんなもんかと。


照れながら男の子がステージを降りて、ピエロが一人。


ちょっと待ってね。というジェスチャーを観客にして、横に置いている道具入れ
をガサゴソ。


喋らない設定なんだな。



その時、僕の後ろから声がかかる。肩をポンポンと。


振り返ると大きな外人さんカップル。首からカメラぶら下げている。


観光だろうか。


その白人男性を見上げるとゆっくりと話し出す。


「アノ オトコハ ナニヲ シテイマスカ。」


たどたどしいが、ちゃんと喋れている。僕も釣られて片言気味に答える。


「あー。えーと。バルーン アート。お披露目。」


ジェスチャー交えて答えると、分かったのか分からなかったのか男性は


「ah…。」


そして隣にいる女性に英語で説明しているようだ。女性も笑顔で何やら喋ってる。
興味を持ったようだ。


ステージ上でピエロが踊りながらバルーンを膨らませてる。



「イマカラ マタ ツクル?」


「イエス ツクル。」


男性はカメラを構え、パシャパシャと撮影。


そのままの態勢でまた一言。


「ナニガ デキルノデスカ?バルーンデ。」


知らねえよ。

 

 

それを今から見るんだろうが。黙って見てろ。


僕は肩をすくめ、困った顔して見せる。こんな事言える訳ないしね。


プロレスラーみたいだもん。


彼女が男性に「バタフライ?」と尋ねる。男性が英語でモニョモニョと答える。


そして俺に


「アー…バタフライ デキマス…カ?」


だから知らねえって。

 

 

え?何。それ俺がバタフライで泳げるか聞いてんのかコラ。


ピエロの事よね?


「ンー。バタフライ。」


くらいしか答えれないよ。


出来たのは、いくつかバルーンを組み合わせて出来た星型のアート。



「shit…」



めっちゃ外れて怒ってはるやん。怖ぇよおい。



俺も予想が外れて怒ってるフリをする。


いつの間にか俺の横に来てた白人男性と目が合い、同時に頷く。


こ、こんなに緊張感もって見るものなのかなぁ。


楽しいお祭りなのになぁ。




ピエロは出来た星型のバルーンを観客に投げて笑う。



人の気も知らないで笑ってんじゃねーぞピエロ。