踏切

2年前くらいですかね。




ある休みの日。



息子連れて出かけてたんです。



その帰宅途中。



(帰って何しようかなぁ)って通過待ちの電車を知らせる踏切の赤いランプを見
つめながら考える。


前の車に目をやると、幼稚園児らしき男の子が後部座席からガラス越しにこちら
を見てる。


まぁよくある光景ですよね。


僕も小さい頃やった事あります。


まぁ、無視してたんです。




んで、踏切が長いんだ。



男の子変顔してる。




やれやれと。




幼稚園児の変顔で40前のこの俺が笑う訳ないじゃないか。


と、助手席を見たら息子も対抗して変顔してる。



「おい、相手すんなよ。調子乗るから。」



案の定、前の車の男の子キャッキャ笑ってる。




…ちょっと可愛いじゃないか。




無邪気なもんだよなぁ。



悩みなんてないんだろうなぁ。




今月の支払いとか無いんだろうなぁ。





息子は今度はジャンケンをする素振り。



大きく口パクで


じゃ ん け ん…って言ってる。




男の子それに気付いたようでグーを出す。



息子は少し遅れてチョキを出す。




「負けたぁ~」みたいな顔してそのままシートを倒してフェードアウト。



男の子大喜び。





(もう1回!もう1回!)と言わんばかりに男の子右手をブンブン振ってる。



「…おい。もう1回やりたいみたいだぞ。」




助手席の息子をつつく。





「あと、お父さん頼む。」



ざけんな。



何で俺が見知らぬガキと遊んでやらんと…1回だけだぞ。




ジャーンケーンポイ!!



男の子グー。



俺、パー。




俺は真剣勝負しかしない。





もう1回!もう1回!


男の子はしゃぐ。




俺は首を振る。




敗者はもう参加できないのだよ、坊や。




男の子諦めたのか下を向く。



そうだ。それでいい。







男の子何かやってる。





後部座席にもう一人座ってたようで。




その子のおじいさんらしき人がこちらを向く。




おい。




おじいさん、孫にせかされたんでしょうね。



口パクで(じゃーんけーん…!)





嘘だろジジイ。




やんないよ。



何で大の大人同士が車越しにジャンケンすんだよ。



保護者王決定戦か。




と、とりあえずグーを出したけど!!




じいさんもグー。



(あーいこで…!)




やんないよ!やんないから!!!








電車はまだ来ない。

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